"Poetry" にまつわる文章のリスト

欠けた満月

君は誰のものでもない
妻でもないし愛人でも
恋人でもないし女でもない
僕の大切な人

今までは明日が見えずにいて
誰のものでもない明日が
今はちょっとだけ形を変えて
いつも同じ場所にある

たとえ“きっと”がついたとしても
明日もその人のそばで眠るんだろ?
同じ夜がきて同じ朝を迎えて
同じようにまた来る明日を思い描くことができるだろ?

明日はこのまま来なければいい
そんなことを聞いたけれど
それは間違いなくまた来ることがわかってるから
僕にそっと残してくれた唯一のぬくもりだったんだね
きっとそれは僕も同じだったんだ

たった1つの永い夜も明かせない
いつも時間に押し流されて
今日は手をつなぎたい
それぐらいしか思い描けない

体を重ねれば重ねるほど
何かが穢れてしまいそうで
怖くて不安で
言葉でしか伝えられない

君が僕を思い描くとき
どこに重なってるのかな

未来がないだなんて言えないけれど
僕が思い描ける夜にいつも同じ月はいない

  • 2007年1月19日 01:14
  • 松田拓弥
  • Poetry

#405

君の孤独
僕の孤独
みんな誰しもがその胸に抱えてる孤独

独りで何処かの名もない木を探しに行くより
きっと大勢で何処かの森へ入っていく時の方が強く感じる淋しさや不安

みんなとはぐれることのほうが
きっとつらいんだ

ひとりだったら泣けるのにと
誰かの前で涙を流すことを
なぜかためらってしまうように

大切な人は誰の心のなかにもいて
そして君をそう呼んでくれてる人が必ずいる

そこに目を閉じることはない
恥ずかしがることもない
胸を張ってそう呼べる

笑顔もぬくもりも何もいらない
失ってきたものを取り戻せるなら


愛を捨てた
愛に捨てられた
そう思っていた

だからそれと同じぐらい大きなもの
夢にしがみついたんだ

そこから抜けられないんだよ
怖いんだよ

いつも誰かに愛されたくて
褒められたくて
リッチになっていつかみんなを見返したくて
泣きたくて
泣きたくて
泣きたくて
言えないけれど叫びたい

まつ毛を焦がすほどそばで揺れてた炎より
自分の体より大きな夢を
いつかそれを支えられるぐらい大きくなった自分を抱いていた

目を閉じなければ届きそうもない
途方もない場所を目指していたとしても

きっといつかはめぐり逢える
いつかそこに思い描いていた自分に

理想論
美しいよ

そばにいてくれる誰もが
ただそばにいてくれるだけの誰もが
わざわざきれいなものまで汚していくような
泥沼のなかで小さな光をたぐるような
語り


だけど今まで失ってきたものを取り戻せたら
今がきっと今じゃなくなってしまうんだろう
今そう呼んでる人たちを
そう呼べなくなってしまうのかな
変わらないと
変わりたくないと口では言っても
いつか変わってしまうのかな

それじゃヤだよ
それじゃ捨てられたままなんだ
愛っていう不確かで何より暗い目隠しをして
誰も何も見えないままなんだ
淋しいよ
やっぱり
それじゃ


夢は大きな一歩さえ飛び越えられる羽根じゃない
小さな恋を積み重ねてきた愛でもない

知らぬ間に降り積もる雪のように
大切な人を思い そこに捧げる祈りのように


そんなふうに

  • 2007年1月13日 03:54
  • 松田拓弥
  • Poetry

ふたりぼっち

君を憎むなんてことはしない
けれど君を嫌いになれない自分が悔しい

泣きたいよ
泣きたい
思いきり
泣きたい

でもやっぱり
淋しくなきゃ二人にはなれないよ

想い出だけでも痛みだけでも
強くはなれない
振り返れば二人ぼっち
立ち止まっても前を向いても二人ぼっち
笑顔と涙で優しくなれる

どんなに自分を責めてみても
どんなに傷を増やしてみても
想い出がいつも邪魔をして
一人ぼっち 泣き笑い

泣きたいよ
思いきり

でもいつも泣いてばかりいた
もしこの涙が枯れたら
また元気になれるかな

不思議と淋しくないんだよ
だから一人でいれるんだよ
一人でいたいときもある
それとはちょっと違うんだよ
淋しくなきゃホントの二人にはなれないんだよ

泣きたいよ
思いきり
泣きたいよね
君のなかで

  • 2006年12月22日 03:24
  • 松田拓弥
  • Poetry

独白

君を思って強くなった僕を見て

君が涙をためて訴えた
僕に描いた夢を
僕は言葉でおどけてみせた

つかめそうでつかめない
空のように高く
雲のように低く
雨のように境目のない

言葉と言葉のつなぎ目を
笑みで埋めていくような

でもなにもかもが
自分のため
そのすべては自分のため
君の笑顔が見たいから

もし心に傷が増えようとも
言葉の隙間は君が埋めて

  • 2006年12月19日 03:47
  • 松田拓弥
  • Poetry

雪が降ってきた


初めてなんかじゃないはずなのに
いつも空を見上げてしまう

雪のない時季を僕は知らない
まるでそれがないかのように

降っては溶けて
またときがきたら降ってくる
どんなにわずかな隙間にも
すべての景色に降り積もる
きっと僕の見えないところにも

こんなにも憎いのに
こんなにも美しい


所在なげに漂いながら
まるで自分の居場所を探すように
彷徨いながら迷いながら
やがて景色のどこかに落ちてゆく

それでも風に揺れながら
でもどこかへ吹かれることもなく


吐息と同じ色をしてる

きっと同じ見えないものの結晶だから
いつもまっさらな色で見えるものすべての上に降り積もるんだ

まるで過去のように

そしてそれは愛のように


また雪が降ってきた

そう……また雪が

  • 2006年11月22日 19:02
  • 松田拓弥
  • Poetry

ガラス瓶

互いの望むぬくもりの上で何度も体を重ねてみたけれど
いつもそこにはコンタクトほどに薄い冷たさが隠れてる
そこに触れたら反射的に体が離れてしまうように
終わりはないけど途切れるたびに
あなたは優しい言葉やキスをくれるけれど
いつの間にか汗が静かにひいてくように
時間と事実と嘘とともにわたしのなかから抜けていく

嘘でしか何も共有できないのかも
あなたとわたしは違うから
でもその誤解を埋めるのもわたしたちでしかない

真実なんて欲しがれば
きっとわたしは泣いてるだけ
あなたが望む関係なんて
これまでずっと嘘の上に嘘を重ねて
やがてそれが大きくなって築いてきただけ
“いい関係”なんて
どちらか一方に都合がいいだけ
そして自分のなかにできていく小さく冷たい深い穴を
焦がすようにふさぐだけ
ごまかして ごまかされて

わたしたちがいつも求め合うように
嘘の上にしかわたしが欲しいぬくもりなんて感じられないのかも

  • 2006年10月24日 19:13
  • 松田拓弥
  • Poetry

きっと僕がしたかったこと

淋しくなるね
君がいないと
なんだかふと
ずっとひとりぼっちだったみたいな気持ちになるよ

今まではそんなこと
一瞬だって感じたことなかった
むなしいとさえ
痛みも喜びも悲しみもわかち合えない二人を憶えてる

遠すぎだよ
君がいない
最後に君と向き合って最初に君が振り返った朝と夜の境界線

必要だなんて言わないよ
ずっとそばにもいれないよ
もう二度と君には逢えないのかもしれないよね

だけどそんなこと
もしかしたら君は望んでなかったのかもしれないよね
どれも全部きっと僕が君にしたかったこと

嘘ついて見栄はって意地はって
カッコつけて謝りもしないでさ
絶対とさえ言えるほど
きっと君への安心感に負けてたんだ
素直な気持ちもなにもかも
みんなきっと伝えてたはずなのに
伝わっているはずだったのに

だけどそれは僕なりの
僕にしかわからないやり方で
いつも君が笑っていたのは
きっとなにもわからないからだったんだよね
そやって僕に気を遣って
苦しいときも楽しいときも
いつも同じ顔を向けててくれた
最後の最後の始まりとすべての終わりまで

痛いよ
そう
君に出逢ってからもこれからも
僕の心が腕が手が
君のそばに行きたがってる
いつも君を探してる
見知らぬ他人のなかにすら
君を重ねようと
君がいつも
自分と同じぐらい大事なんだって教えてくれてた
ほかの人までねじ曲げるほど
純粋な声さえかき消すほどに

求めすぎたり比べすぎたり
大切さを見失いそうになってしまう
耳を傾けること
目を向けること
学ぶこと
感動 共感 ねぎらい 感謝
そしてすべての些細なこと
なにを大切にするかじゃなく
なにを思って大切なんだって感じてるのか
もしも謝ることができるなら
僕が君の表情を1つしか知らないこと

“ありがとう”のひと言が
こんなにも悲しみをもたらすなんて知らなかった

  • 2006年10月19日 19:22
  • 松田拓弥
  • Poetry

もいちど恋して、何度も恋して、恋しくて。

寒いだろ
なにをそんなにつかんでるのさ
強く手をにぎりしめすぎだよ
かしてごらん
すごく冷たいね
すごく震えていたんだね
鼻の頭が真っ赤だよ
そんなに僕を見つめるより鼻水を拭いて
そしてほら 涙も拭いて


苦しいのかい
ホントに小さな罪をこれまで
たくさん繰り返してきたね
そのたびに大きな悲しみを乗り越えて
今こうして涙を流して笑っていられる
きっと僕の知らない痛みも抱えて
その細い手のひらには
いくつもの傷が刻まれてるんだろう
でも涙を拭いながら小さくにぎって
それを隠しちゃいけないよ
僕にも見せて
僕にもそこに触れさせて

悲しみをにぎりつぶしちゃいけないよ
自分を壊しちゃいけない
自分のじゃない言葉で慰めたり
そのすべてを背負うなんて言えないけれど
そのときの深い悲しみがあったから
今の君があるんだよ
それを壊しちゃいけないよ
僕はそれも大切にしたい
どんな痛手もどんな孤独も悲しみも
どんな言葉でそこに触れられるかはわからない
でも ふと ほら 今
そういうときはそっと今みたいに
僕の手をにぎり返してほしいんだ
肩でもいい 服でもいい
首でも腕でも胸でもいい
痛いぐらいつかんでくれていい
うんうんてずっとそばにいるから
みんなみんな抱きしめるから
そして僕の胸で思いきり泣けばいいよ

これまでのいくつも重ねてきた
偶然の軌跡をたどっていけば
僕らの始まりがわかるのかな
それより今の君が一番愛しい
その涙に気づけて本当によかった

  • 2006年10月 3日 23:14
  • 松田拓弥
  • Poetry

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