寒いだろ
なにをそんなにつかんでるのさ
強く手をにぎりしめすぎだよ
かしてごらん
すごく冷たいね
すごく震えていたんだね
鼻の頭が真っ赤だよ
そんなに僕を見つめるより鼻水を拭いて
そしてほら 涙も拭いて
苦しいのかい
ホントに小さな罪をこれまで
たくさん繰り返してきたね
そのたびに大きな悲しみを乗り越えて
今こうして涙を流して笑っていられる
きっと僕の知らない痛みも抱えて
その細い手のひらには
いくつもの傷が刻まれてるんだろう
でも涙を拭いながら小さくにぎって
それを隠しちゃいけないよ
僕にも見せて
僕にもそこに触れさせて
悲しみをにぎりつぶしちゃいけないよ
自分を壊しちゃいけない
自分のじゃない言葉で慰めたり
そのすべてを背負うなんて言えないけれど
そのときの深い悲しみがあったから
今の君があるんだよ
それを壊しちゃいけないよ
僕はそれも大切にしたい
どんな痛手もどんな孤独も悲しみも
どんな言葉でそこに触れられるかはわからない
でも ふと ほら 今
そういうときはそっと今みたいに
僕の手をにぎり返してほしいんだ
肩でもいい 服でもいい
首でも腕でも胸でもいい
痛いぐらいつかんでくれていい
うんうんてずっとそばにいるから
みんなみんな抱きしめるから
そして僕の胸で思いきり泣けばいいよ
これまでのいくつも重ねてきた
偶然の軌跡をたどっていけば
僕らの始まりがわかるのかな
それより今の君が一番愛しい
その涙に気づけて本当によかった
- 2006年10月 3日 23:14
- Poetry