鏡のなかの向日葵

悲しいけれど自分が遠く
淋しいけれど君は遠く
「好き」って言葉を口にするほど
その気持ちを自分に押しつけてしまってる
そんな気がする

鏡に映ったものを触れようとするように
想えば想うほどそこにあるはずの心
距離と輪郭を見失ってく

でもきっと
本当は触れてるんだ
その感触に自信が持てなくなってくだけ

気持ちばかりがどんどんどんどん実感だけをふくらませて
いつからか爪を立ててつかむことができなくなってる

どんなに大切に思ってたって
どんなに繊細なものだって
臆病になっちゃ流れ星
夜空は悲しみを映す鏡じゃないんだ
ましてや星は涙じゃないから

「好き」って言葉は
自分にかける魔法じゃないから

欲しいものを手にするためなら
平気で嘘をつけるほどの強さが欲しくて
鏡の自分に手を伸ばす

自分自身とは手をつなぐことだって
こんなにも簡単なことなのに
どうして向日葵は
あんなにも高いところに咲いてしまうんだろう
ずっと種を掌のなかでにぎっておけばよかったと思えるほどに

もし自分の命を大切にできないのなら
人のそれは大切になんてできやしねぇんだよ
絶対

  • 2009年2月19日 02:03
  • 松田拓弥
  • Poetry

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