雪が降ってきた


初めてなんかじゃないはずなのに
いつも空を見上げてしまう

雪のない時季を僕は知らない
まるでそれがないかのように

降っては溶けて
またときがきたら降ってくる
どんなにわずかな隙間にも
すべての景色に降り積もる
きっと僕の見えないところにも

こんなにも憎いのに
こんなにも美しい


所在なげに漂いながら
まるで自分の居場所を探すように
彷徨いながら迷いながら
やがて景色のどこかに落ちてゆく

それでも風に揺れながら
でもどこかへ吹かれることもなく


吐息と同じ色をしてる

きっと同じ見えないものの結晶だから
いつもまっさらな色で見えるものすべての上に降り積もるんだ

まるで過去のように

そしてそれは愛のように


また雪が降ってきた

そう……また雪が

  • 2006年11月22日 19:02
  • 松田拓弥
  • Poetry

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