2006年5月の文章リスト

“ 2006年5月 ” 分の文。

Lov

セックスのたびに愛の言葉をささやかれて
耳には白々しいと聞こえつつ
心のなかでは求めてしまう
そしていつしか靄にかすんですべてを許してしまいそうな


言葉が欲しい
体が欲しい
心が欲しい
すべてが欲しい

だけどどれか1つで我慢して
自分だけに言い聞かせてみる
だけどどれか1つをつかんでしまうと
自分だけが欲張りみたいで

1度不安の箱のフタが開くと
2度と満たされることがなくなってしまう
底も消えて なにもかもが欲しくなる
戻らぬ過去さえ欲しくなる

許すだとか許さないとか
そんなこともなかったころ
心を重ねた日々の影が
体の重なる闇ににじむ

そこに浮かんだ音の数をかぞえながら
裏腹な心の帳尻合わせにこの体を寄せてゆく
2度目に聴いた日と同じ背中を向けてるぬくもりには
いつの間にか向き合うことはできなくなってた


セックスがなければこんなにも
他になにもないなんて
今の今まで知らなかった
隙間がこんなに大きいなんて
今の今まで気づかなかった
今の今まで見つめることができなかった

  • 2006年5月28日 19:59
  • 松田拓弥
  • Poetry

バターナイフ

強さの答えが見つからなくて
すべてを弱いと決めつけてみる

そしたら少しラクになって
悩むこともやめてみる

そしたらもっとラクになって
自分の弱さも忘れてみる

悩むことも考えることもやめたとき
僕は少しラクになった

だけど望む答えが見つからなくて
求めるばかりで受け取ることもできなくなる

強さの答えが見つからない
だけど弱さの答えは自分なんだとわかってしまう

だけどそれも認めることができなくて
強くなろうとする自分までもが悲しいから

自分の強さが見つからない
弱さばかりを自分の心に塗ってしまう

言い切ってしまえばラクだろう
でもそうする強さも僕にはない

強さのことをたどっていくと
僕は弱さを探してしまう

バターを探してナイフを見つけてしまうような
溶けそで溶けないそんな答えにこねくりまわされてる

正しい答えを求めるほどに
間違いばかりを探してしまう

強さの答えが見つからない
だけど弱さの答えは自分なんだとわかってしまう

強さが弱さにすり替えられて
だけど僕の弱さはすり替えられるものすらない

  • 2006年5月28日 04:14
  • 松田拓弥
  • Poetry

one

ずっとそばにいてほしい
そんなことは一度もなかった

ずっとあなたのそばにいたい
そう思ったのは一度だけ

だけどそれは叶わなくて
だからだって言い聞かせた

微笑みよりも涙のほうが多かった
だからだって言い聞かせた

ずっとあなたのそばにいたい
そう想ったのはあなただけ

  • 2006年5月28日 02:02
  • 松田拓弥
  • Poetry

理由は1つ 不安は2つ

「どうして」って聞かれるたびに
「わからない」って答えを用意していて
いつも答えられない自分がいた
「わかる」か「わからない」も
その答えの1つだと思ってた


つらいことや悲しいことには理由がほしくて
忘れることはできそにないから一緒に捨てる紙がいる
どっかで詰まることがないように
できれば早く水に溶けるものがいい


楽しいことや嬉しいことにはそれは特に必要なくて
ただこのまま続いてほしいと願うだけで理由はいらない
ずっと理由なんて求めることがないように
できればそんな不安もなければいい

  • 2006年5月27日 17:40
  • 松田拓弥
  • Poetry

そら

いつの間にか見上げた空は
ただの空になっていて
大きくもなく広くもなく
仰ぐだけの空になってた

いつからだろう?
飾ろうとしなくなったのは
事実だけをたどるようになったのは
追ってるだけが好きになったのは

今あるものが見えてるとき
それがすべてと感じてしまう
今あるものも見えないとき
それはないと思ってしまう

雲があって流れていって
色もあって時間のように移り変わる
飛行機雲を追いかけて
風船なんかも見つけられる

いつも見て見ぬフリを決め込んだって
そこにあるのは事実だから
だけどそれだけじゃないっていうのも事実だから
時にはあるはずもない虹を心のなかに描いてみよう

  • 2006年5月27日 11:53
  • 松田拓弥
  • Poetry

わかって

もう君を愛せないよ
どんなに言葉で伝えても
どんなに君を抱きしめたって
君の瞳は僕のことを通り抜けて
どこか別の 僕の知らないところを見てる

これまで何度も好きと言わされて
何度も好きと言ってきたけど
素知らぬ顔で君は前と比較する
なにもかもを忘れたように

変わらない人はいないと言ったけど
君は変わらないものもあると本気で僕を非難したね
だけど僕は今 それを痛いくらい感じてる
都合がいいのはわかってる
でも今は君の言葉を信じたい

いつの間にかお互い変わってしまったのかな
離れていっても寄り添い合っても
いつもキスのできる距離にいたら
些細なことには目を閉じてしまうのかな

愛してほしい
僕を愛してほしいんだ
またその瞳のなかに僕を映してほしいんだ

なんだろう
すごくわがままなんだよね
わかってる
君はあんなにそばにいたいと言って
いつか涙を流して僕の袖を引っ張ったのに
一人の時間もほしいだなんて
君がいたからできることも多かったのに
僕一人じゃこんなにもいろんなことが淋しく思える
でもホントわがままにはなりきれないほど好きって気持ち
愛してる
君の言葉が僕のなかに響いていたんだ
君となら手放しで笑えたんだ

  • 2006年5月27日 03:06
  • 松田拓弥
  • Poetry

僕のマーチ

自分らしさを求めるたびに
僕はそこでもがいてる
それらしい答えも出せぬまま
立ちすくんで動けなくなる

行き詰まったら立ち止まって
そこから見える景色だけが
自分らしさを作るんだって
急に自信が風化する

限界なんて自分だけが作れるものだと
雑誌の記事を切り抜いて
胸のなかに貼りつけてみる
だけどそれは誰もが買えるものだったんだ

僕が僕であるためには
強がることより嘘を重ねてゆくよりも
何もかもを捨て去って
ありのままで立ち上がること
自分だけの誇りをもって
胸をはって歩いていくこと
なにが自分らしいことかなんて
きっと考えこんでもわからない


時には強がることも必要だけれど
それは弱い自分と向き合うために
負けるもんかってがんばるために
強がることは嘘じゃないから

嘘をついても仕方ない
だけど小さな嘘を重ねることで
僕は大きくなってもきた
なんの計画もなかったころ

悲しいくらいに見栄っ張りで
どんなに人を傷つけたって
その痛みは僕のじゃない
平気な顔で涙も流せる

それが自分らしさの答えなら
それがきっと僕なんだろう
悲しいけれど そうなんだろう
だけどなんだか涙が出るんだ

だから僕は考えるんだ
自分らしさの答えには
涙なんていらないように
胸をはって歩けるように
大きく両手を振って歩いて行けた いつかより

  • 2006年5月27日 00:49
  • 松田拓弥
  • Poetry

ゆりかご

理想と現実のゆりかごは
いつも空しか見えなくて
雲の流れを追いかけては
つかまえようとこの手を伸ばす

壊れかけた天秤でその2つをはかりながら
やっと見つけた答えでさえもそんなふうに思えなくて
今さら埃まみれの心の机と向き合ったって
時計だけが塵と積もってその想いはまた抽斗の奥へ

なんでもないのに泣けてきて
なんでもないのに泣けてきて

愛さえそれが見え透いてると信じきれず
先の見えない明日の影に塗り替えてゆく
心の内をすべてさらせるほどの勇気もなくて
自信のなさを笑顔の裏にすり替えてゆく

愛と嘘のゆりかごは
いつも空が見えなくて
ごった返すショッピングセンターの吹き抜けみたいに
隙間を探してすり抜けてゆく

  • 2006年5月26日 21:37
  • 松田拓弥
  • Poetry

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