Lov

セックスのたびに愛の言葉をささやかれて
耳には白々しいと聞こえつつ
心のなかでは求めてしまう
そしていつしか靄にかすんですべてを許してしまいそうな


言葉が欲しい
体が欲しい
心が欲しい
すべてが欲しい

だけどどれか1つで我慢して
自分だけに言い聞かせてみる
だけどどれか1つをつかんでしまうと
自分だけが欲張りみたいで

1度不安の箱のフタが開くと
2度と満たされることがなくなってしまう
底も消えて なにもかもが欲しくなる
戻らぬ過去さえ欲しくなる

許すだとか許さないとか
そんなこともなかったころ
心を重ねた日々の影が
体の重なる闇ににじむ

そこに浮かんだ音の数をかぞえながら
裏腹な心の帳尻合わせにこの体を寄せてゆく
2度目に聴いた日と同じ背中を向けてるぬくもりには
いつの間にか向き合うことはできなくなってた


セックスがなければこんなにも
他になにもないなんて
今の今まで知らなかった
隙間がこんなに大きいなんて
今の今まで気づかなかった
今の今まで見つめることができなかった

  • 2006年5月28日 19:59
  • 松田拓弥
  • Poetry

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