コトバ

 最近、「カタカナ」ってやつが流行ってるらしい。

 聞いたことない言葉でも、漢字で書かれてると、その字を知ってれば、なんとなくその意味も理解できたような気がする。そして、あとから本当の意味を知っても、それに近いことが多い。
 でもカタカナだと、どうもスムーズに入ってこない。

 たしかにインパクトはある。
 でも、理解できない。
 でも、だからこそインパクトがあるのかもしれない。

「コトバ」

 だから?
 なにも伝わらない。
 もしそんな題名のモノがあれば、きっと“あれ? なんだコレ? ちょっと気になるかも? 見てみっか…なぁ~”ってなるかもしれないけど、それを開いて読んだら、きっと呼んで終わりになる。

<へぇ~、“コトバ”かぁ~…“コイビト”でもいいじゃん>

 カタカナ表記の言葉や文章を読んだら、それをそのまま受け取るだけで、それについて考えたり悩んだりもせず、もしかしたら返品するかもしれない。

 でもそれが今【ハヤリ】と思えるのは俺だけか?

 もしかしたら今使われてる言葉のそのすべてには、特に伝えたい意味ってのがないのかもしれない。
 特に伝えたいこともないし受け取ることもないのに笑うヒトのように、そんなふうに言葉が使われてるのかもしれない。
 良く言えば、無条件で、図形的に受け入れられるということだ。

 “カラッポ-コトバ”

 どうだろうか?

 でも、特にそんな意味なんてないのかもしれない。
 必要ないのかもしれない。
 なにか言葉を発すれば、それを受け取るのはその相手だし、自分との食い違いが出てくるのは大小問わず間違いない。
 伝えたいことを、全部丸ごと伝えるのはいつも困難なことだ。
 でもそこがおもしろい。
 そんな試行錯誤が楽しい。
 手探りだ。
 意味を見つけることよりも、その言葉を選んだっていうことのほうが重要なのかもしれない。
 ヒトと、ヒトとの、出逢いのように…

  • 2006年8月25日 00:48
  • 松田拓弥
  • Essay

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