自分の姿を、逆さまに映しだしてくれる鏡には、不思議な力を感じる。
 …自分だけじゃなく、もっと他の、いろんなものをも映しているような気がする…
 でも自分では、その「逆さまに映った姿」が、自分の知る自分の姿だったりする。自分の目で、自分を観察することは難しい。
 その目で観察できるのは、自分の中身にしか向けられない。

 他人から見た自分の姿が鏡に映しだされる。
 自分の目で見れる自分の姿は、他人には見えない。

 出かけるときに鏡で身だしなみのチェックをするのは、そのせいかと思った。
 もし、もう一人の自分がいて、そいつが正面に立ってこっちを見たとしても、それもまた他人が見てる自分の姿を眺めてるに過ぎない。視点はそれと同じで変わらない。

 【鏡とは、何か?】
 【自分じゃないものを映すもの…そう、自分以外】

 自分じゃなきゃ気づかないことがある。自分じゃなきゃ気づけないことがある。
 他人じゃなきゃ気づかないこともある。他人じゃなきゃ見えないこともある。

 どっちも知りたいなら、鏡に自分の姿を映してみる。
 そこにいるのが【ヒトから見た自分の姿】で、それを見てるのが、【自分から見た自分の姿】だ。


 ところで、【結婚】について。
 夫婦は、お互いがお互いに似てくるというが、それでも他人には変わりない。
 あくまで「似てる」ってだけで、「同じ」じゃない。

 それで、【離婚】について。
 性格の不一致、性の不一致、すれ違い、孤独。自分を一人の人間として、女として、男として、そういう目で見てくれない。認めてくれない。出逢ったころは…

 当然だ。
 そんなこと言ってて、どうやってうまくいくのか?
 全部が一致するなら、もう「同一人物」に等しい。
 【不一致】とは、【同じじゃない】から起こる。
 それ以前に、【女】と【男】なのね。
 違う。合わないとかじゃなくて、違う。
 結婚したら、きっと男より女の人のほうが苦労する。笑わなくなるのは、きっと男より女の人のほうだ。
 女の人は、笑ってなくても笑える。
 そして、常に変化や刺激を求めてるのも両方でありながら、男も女も結局は【安定】の淵をさまよってる。

 こんなことってないか…?
 どこにも行くところがない。時間を持て余してる。
 とりあえず車に乗ってみた。
 気づくとそこは、いつもの行き慣れた、特になんの魅力もないただ行き慣れてるというだけの喫茶店。
 変化や刺激を求めるのは人の本能であり、変化や刺激を拒むのもまた人の本能だと思う。
 けれどそこに手厳しいメスを入れるのは、女の人だけ…
 それは、感覚が鋭すぎるからだ。安定と安心と、それとは相反する刺激や変化も同時に欲しがるからだ。
 男がそれをしないのは、結局最後の最後に戻れる場所が欲しいからだ。というより、それはそれで安心してるからだ。
 この“それはそれで”ってのがミソだな。
 でもこれは、きっと女の人もそうなんだろうと思う。
 で、お互いにそれをしないのは、ただ単に面倒なだけだろう。


 さて、鏡に映ったものを眺めてるとき、俺はいつも思うことがある。
<…俺以外のものになってみたい…>
 右上に映ってる洗濯物でもいいし、歯ブラシでもいい。ギターでも、ピアノでも、背後を通り過ぎた友達でも、手鏡のなかを通過していった赤の他人でもいい。何でもいい。
 生の自分の姿を、鏡以外のところから見てみたいと思う。そして、触れてみたい。自分が自分を触るんじゃなくて、他のものの感覚で触れてみたい。
 自分じゃ気づけない自分に触れてみたい…

  • 2006年6月30日 13:13
  • 松田拓弥
  • Essay

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