命の言葉

人が死ぬと 人は泣く
膝を折り 腰を縮め
その場に崩れ落ちてゆく
まるでその人の心を見ているようだ

人が死んでも 泣かない人
泣いてる人のあいだにたたずみ
その人たちに腕をまわし
時に中空をただじっと眺めていたりする

心の形がその人の姿そのものだったとしたら
その姿も決して嘘はつけないものだろう

顔では笑っていても心は泣いているという
目が笑っていないという
目が心を映しだす鏡というなら
体は心を偽る器なんだろうか

だけど体はどうしても正直だ
いつでも泣ける女優さん
心の呼びかけに素直になれるだけだろう
雨が降れば濡れるように
傘をさしても傘は濡れてしまうように

泣きたいときに泣けない人もいるだろう
言葉にすればするほどに
心の在り処がわからなくなる
見えてたものもかすんでしまう
体も心を超えられない

だけど言葉は時に心のなかにずっと残り 甦る
言葉がその心や体を支えるときもある

無力で儚い言葉であっても
今はまだない心のために
素直な気持ちを素直な言葉で
それを伝えられるのはそんな言葉なんだから
消えゆく言葉は見えないものを残してくれる

人は形を求めてしまいがちだけど
たとえそれが消えゆくものであったとしても
今ある大切さも忘れはしない
だから死ぬまで生きるんだ

人は命を想い 命に人は支えられる

  • 2006年6月26日 01:57
  • 松田拓弥
  • Poetry

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