今日、みっくすとすれ違った。
近所の《LAWSON》前だった。今は弟くんがそこでバイトをしている。
こりゃ日記を書かずにはいられないだろう。
家を出て、バイト中に食べるご飯を買いにそこへ寄った。
いつもは、バイト先に着いてから近くの《サンクス》へ向かう。そして、ごまのついた鮭のおにぎりとパン、サラダを買う。最近は、あと“ヘルシア・ウォーター”もつくときがある。
高いし、体脂肪もたいして気にはしてないけども、これが意外にうまいんだな。
“ヘルシア緑茶”と“烏龍茶”は、ひと口でもう高濃度茶カテキンにやられちゃってまったく飲めない。もし体脂肪をハチャメチャ気にしなきゃいけないような体型だったとしても、あれは飲めたもんじゃない。出たベロが引っ込まなくなる。
と、そんなこんななあれやこれやで、思いのほかけっこうバカにできないぐらいの俺様維持費がかさむ仕事先でのご飯代。
しかし、そこで救いの手を差し伸べてくれたのが、ウメちゃんなのだ。
先日、“JAFで当たったやつ”とウメちゃんから5000円分ものQUOカードをありがたく授かった。線は細いが、太っ腹なウメちゃんなんです。
「やった!! これでバイトのメシ代が……」
早速俺様、いざ参らん!!
「あの、これ使えますか?」
「いや、うちではちょっと使えませんねぇ~……」
ところがどっこい、《サンクス》ではQUOカードが使えないのだ。
そしてあくる日、セブンイレブンでも試してみた。
「あの、煙草は買えないんですよぉ」
「そうですか」
煙草買えないってどういうことじゃい!! そういうので一番買いたいのが煙草じゃん!!
一見便利そうでいて、加盟店でしか使えない僻地じゃ実際そうでもないQUOカード。だけどやっぱり使えるんなら使いたいそのカード。使えるのは近所じゃ、街のホットステーションといい気分の2軒だけ。そして、寝坊してホントはないけどある時間。
というわけで、今日はたまたま《ローソン》に行ったのだ。
なにを買おうか迷った。
というより、おにぎりがほとんど残ってなかった。
俺様は、おにぎりが最高のご飯だと思ってる。あれほどうまいご飯料理はないと思ってる。もともとそうだけど、これまた深い関わりがある。
実に最高だ。
結局、つぶあんのパンだけを買った。QUOカードは使わなかった。
そして外に出て自転車にまたがり、霧雨のなか、さらに近所の《セブン・イレブン》へ向かおうと少し立ちこぎ。いつものごとく、ちょうど歌いだそうとしたそのときだった。だから意識はすでにどこか別の次元にいっていた。
傘もささず、景色と服さえ違えば、その雰囲気はもう、まるで中世ヨーロッパの風をまとった1台の自転車。
最初はまったく気づかなかった。
でもすぐに気づいた。
みっくすだった。
この呼び名は、おれとウメちゃんと、その本人にしか通用しない。
というより、ウメちゃんと僕とのあいだでは、けっこうそういうのが多い。“シルコ”なんてのは、その代表の1つだ。ちなみにそれは、その本人すら知らない。
まあそれは関係ない。
関係あるのは、おにぎりだ。
俺様はもともとおにぎりが好きだ。好き好き大好き、I LOVE おむすびだ。あえて呼ぶ“おむすび”っていうこの言い方もまた影響が強い。
しかしながら、みっくすは、そのおにぎりで涙を流したのだ。
初めて僕におにぎりを作ってくれたある日のこと。僕は食べた。
「あ、うまい」
バイト用なのに、その場で食っちまった。
「うまいうまい。ありがとう」
と、気づけばみっくすは、そこで静かに一雫の涙を流していたのだ。
「うまい」
これで、たったこの一言で、もしかしたら人によっては、いや、実際にはそうでもないか。ただ僕としてはごくごくあたり前のことだった。だってホントにうまいんだから。
でも、たったこれだけのことで、ただ嬉しいとかいうだけじゃなく、みっくすは涙が出たんだ。そして笑っていた。
みっくすはこちらを見ていた。きっと僕より先に気づいていたんだろう。
微笑んでいた。もしかしたら、僕が歌いだすホントに直前だったんだというところまで気づいていたのかもしれない。
“ああ、全然変わってないね。相変わらずだね。なんか安心した”
そんな微笑みだった。
しかぁ~し!!
僕が微笑むにはもう遅かった。通り過ぎていた。
また戻るにも、すでにもう遅刻だ。しかも1時間。
あそこで止まって、ちょっとでも話しだせば、間違いなく、今日は休むことになっていただろう。
きっと、いろんな可能性のなかで、なにか間違いや正解が起こったにせよ、おれは今、家にいたと思う。
僕はいろんなことを頭に思い描きながら、回想しながら、微笑みながら、変わらずペダルをこいでいた。
もし僕が止まっていたら、みっくすも止まっていただろうか?
もしそっちの選択肢を選んだ別の僕がいるのなら、教えてほしい。
おい、そっちは今どうなってんだ?
で、あと今日は、もう今となっては古びれてしまったけど、あの“G-MAIL”に招待もしてもらった。
これは僕の憧れだった。
なんだろう……
僕のまわりのなにかが、どうやら少しずついい方に好転していってるような気がする。
先にその向こう側にある結果がわかっていれば、それは“必然”だろう。
でも、今はまだ“偶然”だ。
- 2006年6月 9日 01:24
- Diary