ガラスの瞳

「愛してる」
「好き」
「愛してる」
「好き」
「愛してる」
「好き」
「愛してる」
「好き」
「愛してる」
「好き」
「愛してる」
「好き」
「愛してる」
「好き」
「愛してる」
「好き」
「愛してる」
「好き」
「愛してる」
「好き」
「愛してる」
「好き」
「愛してる」
「好き」
「愛してる」
「好き」
「愛してる」
「好き」
「愛してる」
「好き」
「愛してる」
「好き」
「愛してる」
「好き」
「愛してる」
「好き」
「愛してる」
「好き」
「愛してる」
「好き」

 伝えれば伝えるほど、全然足りないと感じる気持ちがある。
 どれだけ言えば、どれだけ想えば、すべてを伝えられるのかと不安になる想いがある。
 その不安は、どうすれば消すことができるのか、もっともっと不安になる。

 足りないものを補うように、どれだけ言葉を費やしたのか…
 どれだけ言葉を費やすだろう…
 でもそれ以外に表現できる言葉が見つからない…
 「愛してる」を、ほかの言葉で伝えるには、どんな言葉があるだろう?
「そばにいて」
「ずっと一緒に」
「生きてけない」
「大切」
 ふぞろいな言葉ばかりが浮かんでは消える…

「ふぞろいな」
 好きな言葉だ。

 ふぞろいなものって、どんなものがあるだろう?
 カタチ。
 気持ち。
 2つの靴。
 手。
 瞳。
 見えるものも、ふぞろいだ。

 同じ言葉の繰り返し…繰り返し、繰り返し…
 でもそれじゃ、不安も同じぐらいに募ってゆく。
 1度だけで想いのすべてが伝わるならば、どれだけ人を愛せるだろう…
 でもそれじゃ、苦しくて苦しくて、愛がきっと見えなくなる。
 言われれば言われるほどに、苦しくなって、言われなくても苦しくなって、それが軽い存在になってしまったような気がして、だけどホントはそんなことは思ってなくて、もっともっと欲しくなる。もっともっと伝えてほしい。
 だけどそれじゃ、苦しくて…切って貼るだけでも言葉を綴るだけなら簡単だから。
 伝えようと思えば思うほど、どんどん言葉がへってゆく…

 ガラス。
 弱い。
 ガラス越しに見えるむこうの景色に、今目の前にある景色が映る。
 まるでキミみたいだ…
 まるで自分みたいだ…
 まるで瞳のなかみたいだ…

  • 2006年6月 9日 03:01
  • 松田拓弥
  • Essay

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