いつかまた

基本は、あらゆるものを疑うこと。
そしてやがては、あらゆることを信じることへ。
自分を疑い、自分を信じる。
「自信」となる。
自分を信じること。
自分を信じてみること。
疑いつづけた自分を信じてみること、信じてみようって気になること。
ちょっとした小さな幸せ。

たしかに僕は恋をした。
自分が嫌いと、まわりにはその逆をまるでそれが嘘のように、
自分に言い聞かせるようにぶちまけていた。
すごく悲しかった。
すごくさみしかった。

でもある日、優しく包み込むような微笑みくれたヒトがいた。
「それは、自分を守るための嘘。涙のようなもの」
そう僕の嘘を理解してくれた。
弱いから泣くんじゃない。
悲しいから泣くんじゃない。
強くなろうと一生懸命になれるから涙を流す。
それが精一杯なんだ。
嘘をつくことで、自分を守ろうともがいてる。
嘘をつくことで、そんな日々を切り抜けていた。
すごく悲しかった。
すごくさみしかった。

運命とかそういうことを、たやすく信じてみたくなった。
嘘をついて笑うより、信じて泣くほうがいいと思った。

たしかに僕は恋をしていた。
その人のことを想うことで、僕のなかにも微笑みが生まれることもある。
そんな僕の微笑みを見て、微笑んでくれるヒトもいる。
その人のことを好きでいる自分が好きになれた。
その人のことを好きな自分まで嫌いだとは思えなかった。
悲しかった。
好きな人のことを想ってる自分までもを嫌いと感じてしまうことが、
僕にはすごく悲しかった。
心のどこかで、いつもひとりぼっちを抱えているようで…
それを演じようとすることも悲しすぎる。
さみしすぎる。
でも、そんなふうに自分が嫌いだから、自分以外のだれかを本気で好きになろうと
一生懸命に必死になれるってこともあったかもしれない。
でもそれも、つらすぎる。
「嫌われたくない」という気持ちばかりが大きくなる。
それはきっと「好き」って気持ちとは別の気持ちのような気がするから…
もしもいつかその気持ちに気づいてしまったとき、きっとそのときは、
自分のなかのつらい部分しか見えなくなってしまうだろう。
だれもが抱える不安なのに、きっとそれさえヒトのせいにしてしまうかもしれない。
もしかしたら、「好き」って気持ちさえも見失ってしまうかもしれない。
好きになったのは自分なのに、それさえヒトのせいと嘆いてしまうかもしれない。
自分が、自分のなかで迷子になる。
そんなのやだから、自分を好きになってみようと思えたんだ。

たしかに僕は恋をした。
たしかに僕のわがままだけど、自分の幸せ見つけたかった。
キミを幸せにできるかどうかはわからないけど、その努力はできるんだ。
素直になるのは難しいけど、素直であろうと願うように。
それが自由であるように…

ヒトの恋なら上手に表現できるのに、自分の恋はうまくいかない。
愛をうたった言葉なら上手に紙に綴れるのに、自分の気持ちは伝えられない。
相談を受けたとき、きっと誰もが口にする切り抜きを並べるだけで、
それまで聞いた他人の言葉の引出しを開けて見せてあげるだけで、自分のことを隠すように。
自分のことは誰にも話さないのに。
話せないから。
怖いから。


またいつか自分のなかの小さな幸せ見つけられたら、きっといつかそのときは、
それを手放すことがないように。
自分のなかで勝手に整理をつけてしまう前に、自分のなかの気持ちを全部伝えよう。
自分を好きでいられるように。
もっともっと自分を好きでいられるように。
素直な自分でいれるように…
ヒトの気持ちを上手に歌うことよりも、自分の気持ちを素直に伝えられるように…

  • 2006年5月14日 01:23
  • 松田拓弥
  • Poetry

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