月明かり

夜空に浮かぶ月が消えかかる

ほの暗い明るさだけを残して

月が空から消えてゆく

朝がくるのか?

陽射しを待ってるわけではない

ただ月を眺めていただけ

眺めていたいだけだった

もう何本めかの煙草の煙もその輪郭だけを撫でてゆき

濁ったような月のなかを踊りだす

強すぎず 弱すぎず

遠い彼方で静寂を

遥かな場所から沈黙を

夜の不安を優しく照らす

暗闇ばかりじゃないってことを

色ある僕の細い細い吐息さえも

このほの暗い明るさのなかでも伝えたいこと

声嗄れるまで歌いたい

胸張り裂けるまで泣いてみたい

どこからともなく僕のそばで凛と鳴く虫のように

涙ににじむ陽射しのような月明かり

この月のような優しさをこの胸に

伝えたいことこの胸に

伝えたいことその胸に

涙の雫は月の上に

消えない影は時の上に

  • 2006年5月 3日 02:57
  • 松田拓弥
  • Poetry

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