MY BOOK

本屋さんで本を手に取る。
なんとなくだ。
理由なんてない。
意味なんてものもない。

1度読みはじめてしまった本を、その途中で読むのをやめるなんてできはしない。
先が気になる。
これからどうなる?
たとえそれまでが退屈な話でも、それを知っているからその先も知りたくなる。
何があるかわからない。
神すら知らない先がある。
そのなかを進んでいる人にしかわからないものがある。
そのなかを進んでいる人にしかわからないことがある。
その物語には、神の出てくる光の幕はどこにもない。
本に名前を呼ばれたわけじゃない。
だれかに頼まれたわけでもない。
理由なんて何もない。
意味なんてものも、きっとない。

ページを、その1枚をめくるたび、物語も1枚先に進んでゆく。
ページを1枚めくるたびに、先に進める。
そこには先がある。
まだ知らない先がある。
笑えることもあるだろう。
泣くことだってあるだろう。
ほんの小さな感情を重ねるだけのその上で、その1つ1つで大きくなってくものもある。
忘れたことも、思いだせる。
そこにしおりを挟んで、ちょっとページを戻せばいい。
もし別の本を見つけたら、そっちを読んだあとでも遅くはない。
夢中になって読みすぎて、いつか疲れてしまったら、しおりを挟んで休めばいい。
しばらく読まずに置いておいても、いつかまた、きっとそこをめくるだろう。

先が気になる。
たったそれだけの小さな1つの気持ちだけで、どんどんどんどん先へ進める。
だけどやっぱり途中で閉じたくなる日もある。
だけどやっぱり先が気になる。
そしてまた1枚のページを進めてゆく。

もしもそれがあるならば、その後悔はすべてを読み終えたときであってほしい。
そしてそれは、その本を最後まで読み終えてしまったことであればいい。
また今日もこの本のページ1枚めくり、そして、
この物語の気になる先を知ってゆく。

  • 2006年5月 3日 09:01
  • 松田拓弥
  • Poetry

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