それなり

見た目以上に冷たい地面
鉄のような煙を上げる道路
うろこのように黒茶けた樹皮

乾いてる
求めてる
そして飢えてる

必死になったことがない
がむしゃらに働いたこともない
あきらめるのも早い
そのくせ捨てることはできないでいる

歩くのが速い人には
ついていこうともしなかった

僕がやることはいつもそれなりで
人にはムダだと言われがちなこともやってきた
食えない道草を探しながら
遠いのか近いのかもわからないまわり道をした

でもそれはそれで
今の僕にそれなりの役には立ってると思う

誰かがそれをムダだと言ったって
僕にとってはそのすべてが今になっている
なにもかもがつながっている
つなげてくれる

たとえそれはもしかしたら自分にすら取るに足らないかもしれない
だけどなにか1つが欠けてしまってもダメなんだ
捨てきれない夢も破れた恋も
壊れた絆も色褪せてゆく想い出も

自分に自信が持てないでいるのは
きっと自分にもっと期待を抱いているからなんだ
それなりの自信じゃ不安なんだ
自信よりも自分がほしい

乾きを癒す水のように
それ自体は味気なくとも
自由に、そして果てしなく

無風の谷間
まるで部屋で吸っているように
煙草の煙がただ上へと立ち昇る
それも悪くない

  • 2007年4月 5日 00:53
  • 松田拓弥
  • Poetry

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