焼ける唇

どんな顔をしてんだろう?
目を閉じて
また開けて
永いようで短い夜が明けてくように
そっと唇も開きかけて

まるで蜂蜜のようなその甘いやわらかさ
ほんの少し僕も濡らして
糸を引くほどの余韻だけを残して
また少しぬくもり重ねて

まるで花びらがひらりひらりと舞い降るように
少しずつその唇が移ろい揺れる

目を閉じて思い描けば
空気だけではひどく冷たい
その吐息や唇が燃えるように熱いから

唇がそっと離れていった瞬間
想い出までも消えてしまいそうで
その唇を見つめてしまう
触れてしまう
指でゆっくりなぞってしまう
それがすべてであるかのように

この唇になにを含んだ?
この歯はなにを噛んだ?
舌の上ではなにを上手に転がした?

ただ眺めているだけで
焼けるほどの唇で

  • 2007年3月28日 08:03
  • 松田拓弥
  • Poetry

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