やっぱ家族の絆ってやつに弱いらしい。
 どうにもこうにも、こればっかりはダメらしい。
 いつまで経っても免疫ができない。
 涙腺がゆるみまくってる。
 そのくせ、人の死だとか別れには、一切の涙が出てこない。こぼれもしない。浮かびもしない。
 そのへんは、免疫の塊のようになってるみたいだ。

 離れることには強いんだけど、結ばれることには弱いらしい。
 取り戻すとか、手にするために一生懸命がんばるだとか。
 どっちが難しいとか、奇跡とかっていうんじゃなくて、結ばれるのも離れていくのも難しい。
 損得だとか難しさとかで物事判断しちゃったら、どう考えても大切なものが見えなくなる。
 難しいほうに重きを置いてしまったら、人の出逢いなんて葉っぱ1枚より軽そうなもんだ。

 たとえば、その葉っぱ1枚が落ちたことで、そこにいた虫はその夜をあったかく迎えられるかもしれない。

 う~ん、このたとえは間違ってる。
 かなり見当違いな感じがする。
 でもそんなようなニュアンスだろうな。

 家族の絆に限らずとも、やっぱこの“絆”ってのが相手だと、泣けてくる。
 わけもわからず、うなずいている。
 軽々しく“共感”なんて言葉は口にしちゃいけないのかもしれない。
 僕がそれを経験してるわけじゃないから、それがわかるわけじゃないのに、なんかわかったような気がして……
 ああ、ダメだ。
 人は人を思い、人が思いを馳せるのは、命だ。

  • 2006年9月 4日 05:00
  • 松田拓弥
  • Essay

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