現実と虚構の螺旋

 人の心のなかにこそ、ある。

 【リアル】

 人の心のなかにだけ、ある。

 【真 実】

 フィクションだからこそ、それがあって、よりリアルに感じてしまう。


 もしそれが本当に現実であったなら、人はきっと傍観者になれない。

 怖い。

 ホラー映画とかを観たら、結局は夜に眠れなくなってもこう自分に言って聞かせる。

「あれはフィクションだ」

 フィクションだからと言えども、でも、現実に起こりうるからこそ感じる。

「あり得ない」

 自分のなかでなにかのつじつまを合わせるように、まるでそれに縛られたように、そのなかで流れていた“時間”だけを追っていく。

 ………。

 もっとも非現実的で、もっとも現実的なもの。

    【死】

 ………。

「あり得ない」

   【恐 怖】

   【 夢 】

   【 愛 】

 ホントの恐怖も、ホントの愛も、現実には誰にもわかりゃしない。

 誰かが作りあげた虚構のなかにそれを見つけて、ともに涙を流したり、背筋を凍らせ震えたりする。


 “人は、自分以外の誰かの頭のなかに住みたがる”


 人がもっとも怖いのは、人。

 人がもっとも怖いのは、自分。

 誰かに嫌われたくないのも、人の目を気にするのも、そのすべては自分のなかにあるのだから。

 フィクションのなかにこそ、人は、それを見いだす。


    【リアル】


 人を惑わす【現実】のなかの【真実】が、そこにある。


    【フィクション】

 なにもかもが起こりえる、今そこにもある現実。

 なにもかもが起こりえる、今もそこにある虚構。

  • 2006年7月14日 00:06
  • 松田拓弥
  • Essay

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