鏡のむこうに自分の姿を映して、変な顔をしてみる。
…ムカつく。
ベロ出すな…
目ェむくな…
鼻の穴を閉じなさい…
…もう目もあてられない。
鏡に映ってるものって、実際のものとは逆向きになってると聞いた。
でも、実際に鏡を見てるときって、それを忘れてしまってる。
でも、右と左をちゃんとそのままに映されると、逆にもっとおかしくなる。
左右逆の自分の姿に、自分だけが慣れてしまって、自分だけがそのそのまんまの自分の姿を知らない。
自分なのに、自分が見えない。
そのままの自分ってやつは、自分だけが見えない姿のことを言っている。
自分に見えないものが、そのままの自分ってやつだと言えるのか?
どうやら言えるようだ…
だから人は嘘をつく。
…嘘は人に見えないようにつくけれど、自分だけがその裏に隠されたホントの意味を知り得るからだと思えてきたりしてみたり…
殺してやる、自分を。
殺してやる、あんたを。
殺してやるよ、みんなを。
生まれ変われるんだとしたら、みんなを殺してやる。
そしてまた生まれ変わったら、みんなが鳥になってるように祈ってやる。
自由に空を飛べる、あの鳥になりたい…
そんなふうに思ったこと、きっと誰だってあると思う。
だから俺が殺してやる。
そして、鳥として生まれ変わらせてやる。
…飛べない鳥でも、鳥は鳥…
大空高く思いっきりその羽根をはばたかせてみたらいい。
青い空の雲のむこうを突き破って、まだ見ぬ世界に飛び立っていったらいい。
だけどきっと鳥になったら、それはそれでイヤになるときがくるんだろう。
そこから見える地上の景色をすごくキレイだと思える日もきっとある。
きっと鳥は空しか飛べない。
でも僕らは、どこにだって飛んでいける…
- 2006年6月11日 02:03
- Essay