君への物語

君と一緒にいれなかった時間
今だから
君に語れることがある
君に聞かせたい物語ができた
僕の物語

すぐに遠くへ行ったんだ
苦手だった一人旅
空の下 風に吹かれて
道の上 先を聞いて
あてはなかったはずだけど

海があって山があって
人がいて犬がいて
雨が降ってまた晴れて
そしてまた僕は歩いた

君と離れて少し友達が増えた
嬉しいのかな
それとも悲しいのかな
喜んでもいいのかな

君がいないことに慣れていった
一人でいるのがあたり前になっていった
君はいない
君じゃないほかの人ばっかりだ

手もつないだ キスもした
セックスもした
彼女のなかに溶けていった
それもたくさん
もしかしたら君とよりも多かった
あんなにも怖かったのに
冗談交じりに誓ったあの日
同じことを彼女に誓った
そして同じように別れていった

白々しいほど愛を叫んで
苦しいほどに愛を感じて
痛いくらい人を愛した
そしてなぜか別れを選んだ

また一人になったとき
なぜか君を思いだす
時間の長さじゃないないんだね
そのとき君を思いだす
だけど君はそれだけの人

二度と結ばれることはなくてもいい
ただ君に聞いてほしい
君と離れた僕の想い出
君がいない僕の想い出

聞きたくないならそれでいい
聞きたくないと言ってほしい
引っぱたかれても構わない
そのとき僕は君の前にいるだろうから

  • 2006年6月 9日 18:28
  • 松田拓弥
  • Poetry

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