しゃぼん玉

とにかく大きいやつを作ろうと
思いっきり息を吹いてみた
そしたらすぐに割れちゃった

もっかいやったら
小さいやつがたくさんできた

だけどホントはすごくおっきいやつを作りたいんだ
今度は静かにそーっとやってみた
そしたら今度は膨らんだ

やわらかいのか歪んでるのか
でも顔の前で破裂したからクサかった
だけどホントはいい匂いで
それは懐かしくもあったんだ

やっぱり飛ばしてみたくなった
もいちど思い描きながら
はやる気持ちをおさえながら
寄り目になって口の先をとがらせて
僕がにじませてゆく光を覗きこみながら
楽しさを隠せないまま
割れないようにと不安も一緒に
しゃぼん玉を膨らましてゆく

「これ、僕がやったんだ! ほら、すごいでしょ?」
誰でもいい どこからでもいい
「すごいね」って言ってほしいんだ
みんなで見上げてほしいんだ

そして僕は
やっとみんなの顔を確認しながら
腕を伸ばして飛び跳ねるんだ
嬉しそうにそれをつかまえるんだ

でもいつの間にかそこには
僕一人だけしかいなくなってて
願いながら祈りながら見送るんだ
屋根まで飛んでも消えないように

  • 2006年6月 5日 09:46
  • 松田拓弥
  • Poetry

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