小径

進んでるのか
戻ってるのか
地面を覆う草や花
木の根や枯れ葉
色も知らずに踏みしめて
その小径をぼくはただただ辿ってゆく

草と知るのはその形
花と知るのはその姿
木の根は触れればすぐわかる
枯れ葉と知るのは渇いているから
この靴の下をぼくが小径と認めたのは
そこが歩きやすそうだったから

時にはいくつも橋を渡った
なにかをつなぐものじゃなくて
ただそこをまたぐための橋
視界の先 その両端には
先も後も同じ景色に見えたりした
渡りきっても変わらないと

きっとまた戻ってくる
進みながら戻ってる
いつも前を向いて歩いている
でもそれはいつか背後に流れていった
いつも同じ景色のなかで
また草や花を認めては
木の根に触れて感動する
枯れ葉のような自分の姿を忘れてさえ
変わらぬものに安堵の息吹が胸裏をかすめる
でも同時に落胆もする

ぼくは森に迷ってる
だからそれは道じゃない
歩きやすいからといって
それが道とは限らない
きっとそこに道はない
小径とはきっとその森と外とをつなぐ橋だろう

  • 2006年5月19日 21:33
  • 松田拓弥
  • Poetry

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