手紙

うっすらと冷たい霧が煙る朝
季節の風に包まれて
舞い上がっては静かに重なるもう1枚と
初めて書いた手紙の記憶が結ばれて
褪せた季節が彩られてゆく
まるで言葉を知ってるように枯れ葉が風にさらわれて
心のなかへとにじんでゆく

風が途切れて乾いた地面にそれが落ちてしまったのは
その2、3行の空白に
たった1つのすれ違いを知ったとき
小さな音が氷の上をひきずったあと
たった1度視線をそらした瞬間に
それは大きな風となって
また枯れ葉は舞い上がった

季節はめぐる
水たまりのうすい氷が溶けてみれば
そこはまた冷たい風にさらされるけど
もう2度と凍りつかせることはない
たとえ薄くてもろくとも
閉ざされた氷の下では
ただの水さえあたたかい

  • 2006年4月30日 10:44
  • 松田拓弥
  • Poetry

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