みずのいろ。

 ただ川が流れてく。
 せせらぎ。
 草花。
 時に穏やかに、そして時には激しく。
 揺れて、揺れて、揺れながら。


 水のように生きていきたい。
 道ができれば、そのすべてを流れていき、道なければそれを作る。
 細くても、太くても。


 そしてやがては空へ消え、いつか大地に雨を降らす。
 それは時に悪魔と呼ばれ、ある季節にはそれ以外の何ものでもなく、ただの水。
 しかし、またある場所では恵みと呼ばれ、多くの人を笑顔にし、救い、微笑みを取り戻す。


 人間は、ひと雫。


 きっと美しいだけじゃない。
 かといって辛いだけのことでもない。
 平等でもなければ、不平等でもない。


 悪いことのあとには、必ずいいことがやってくるとも限らない。
 悪いことが続くことだってある。
 でも、いいこともあった。
 日々のなかで色褪せてしまいがちな、忘れかけてた笑顔。


 水の色は、水だけの色じゃない。
 そんなことはわかってても、本当は知らないことがあまりに多すぎて、ついつい自分の知ってることだけでいろんなことを知ったつもりになってしまう。


 僕って雫は今、どれだけの雫を映せてるんだろう。

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