雨だ……
雨が降ってる
目を閉じて耳を澄ませば
君が歩く音が聞こえる
僕の心の輪郭をそうするように
その静かな足音が僕の気持ちに波紋を呼ぶんだ
そっと弾ける君のその一歩から
苛立つほど優しいその雨音に打たれながら
自分の腕にそっと頬を預けてみる
ただ僕はこうして眺めているだけだけど
やまない雨は降ってもこない
だけど今はそれすら疑ってしまうほど
こんなにも降ってる
雫を追えば目を閉じろと言われているようで
地面しきりにまぶたが弾かれているようで
きっとなんの変哲もない日によってはただの雨で
みっともないとかみんなの目とかも関係なく
浴びるように一歩そこへ踏み出してたり
雨宿りできる場所を探してそんななかを歩いていたり
ふと顔を上げて「雨だ」とかつぶやいてたり
吸いこまれるよに無性に独りを感じながら
きっとどこかでみんな一緒と安心してる
だけど淋しいよ
洗われてゆく鞄の汚れや
どこかで泣いてる多くの涙は
この雨には僕の目には映らないから
僕は僕にしかないにおいを感じているだけで
こうして雨を眺めているときは
凍えて震える自分の体のぬくもりだけが……
だけど孤独は雨と似ていて
季節はずれの雨のように
ふと突然降りだしては
僕のなかで降ったりやんだりを繰り返すんだ
それにしてもいま君はどこでなにをしているのかな
電話で聞いてみてもいい
すぐにメールで確認してもいい
でもこうして君のことを考えられる僕の
ささやかなあったかい時間でもあるよ
あったかいよ
- 2006年6月21日 02:52
- Poetry
ランキング参加中なので。
単語連鎖
- あとがき : カミナリ落ちた。
- まえがき : 木洩れ日広がる静かな森