NO ONE

雲が流れていく
風のほうへ導かれてく
光が影を追っていく
いろんな色に彩られてく

吐息が白くなっていく
その輪郭を曖昧にぼかしてく
街が静かに傾いていく
隣の歩幅に吹かれてく

その指先で少し庇を上げるように
その指先に炎を灯したように

同じ光が 指先が
時間のなかでは刻々と
姿を変えて軌跡を描く

たった1歩進んだだけで
そこには自分と足跡がつき
2つの影を落としてく
なにもかもが1つじゃない

  • 2006年6月 5日 16:03
  • 松田拓弥
  • Poetry

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