小さな頃はまだまだ歩幅が短くて
遠くまでなんて行けることも考えられず
ただ自分が行けるところだけを向いていた
でも自分の好きなだけ眺めていられた
今はどこまでも行ける
行こうと思えばどこまでも
なにかが足りないわけじゃない
自分がちょっと臆病になってるだけなんだ
1歩の距離が大きく長くなった分
そのあいだで見失うことあるかもしれない
気づかぬこともあるかもしれない
だけどその分自分の知らないところへ行ける
なにも知らないところだから
いろんなことを知っていきたい
自分の両手を広げただけの
ほんのちょっとの自分の世界
1歩足を動かすだけで
自分の世界が動きだす
今ここから動きだす
今までこの足はどれだけの土を踏んできたのか
どれだけの草や花を殺してきたのか
どれだけの命を絶やしてきたのか
名もなく消えた小さな命
だけどその分僕も少しは大きくなれた
なにかを踏み台にして大きくなってく
今になってそれに気づいてしまう僕は
きっと何より臆病に自分の1歩を疑ってる
僕の気づかぬところで潰えた夢や気持ちや希望や命
僕のなかでは生かすことはできないけれど
きっとそれは世界のどこかで
新たに宿った光や影と時間と景色と心が混ざって
僕の傷を癒してくれるだろう
単なる自分の尻拭いをキレイな言葉で埋めつくして
その分厚い幕の下に隠れてしまうことがあったとしても
僕のなかでは消えることはきっとない
僕の傷は僕が死んで生きることをやめたとき
そのとき消えるすべてとともに痛みを抱えて失うだけだ
ずっと癒えることのない傷や気持ちを受け入れて
今はただほんの少し うまく付き合えるようになるまでは
たったちょっとの自分の歩幅を少しずつ
自分なりに見つめていたい世界のどこかへ伸ばしてゆきたい
傷を癒せる場所じゃなく それをもっと深めるために
- 2006年5月15日 08:45
- Poetry