追憶

想い出って、実はすごく遠いのに、すごく近くに感じてしまう。
いつの間にか過去でできた道の上を歩いてる。
それが未来につながってるとは自分でも気づけない。
そこに必死になってしがみついて、いつまでも過去を過去にできなくて、
昨日が今日に重なって、今日が明日ににじんでくような、そんな気がしてならない。
過去を過去と言い切れる、過去を過去に変えられる、
過去を過去として受け入れられる、ごくありふれた時計が欲しい。
でもそんな時計があっても、きっとあとからあとから追いかけそうな気もするから、
あまり意味がないかもしれない。
でも、追いかけられない記憶も、あまり意味がないような気もする。
忘れてしまった記憶を、記憶と呼べるかもわからない…

恋人とかそういうんじゃなくて、ただ単に不思議に思うことがある。
好きだったから一緒にいたのか?
一緒にいたから好きだったのか?

「その黒いズボンいいね」

「もとは真っ白だったんだよ」

「白だときっと似合わないから、黒くなって良かったね」

「そうかもね」

  • 2006年5月 9日 20:50
  • 松田拓弥
  • Poetry

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