存在

 今までの自分の気持ちってやつを思い返してみたりした…


 恋をした。

 たくさんの恋をした。

 傷つけた。

 そして、傷ついた。

 「好き」って言葉、今まで何度伝えただろう…

 今思えば、違う人にたくさんの人に「好き」って言えてた。

 自分の気持ちっていうのが、ちゃんとそこにあったのだろうか?

 疑問だ。

 時々こうも思ったりしていた…


── 自分のこの気持ちより、その人がいてくれれば、それでいい ──


 …失くしちゃいけないって。

 その人がいてくれて、初めてこの気持ちが生まれるんだって…

 自分の気持ちを大事に大事に抱え込むより、その人をもっともっと大切にしなきゃいけないんだって…

 僕が泣いたのは、その人の心のなかで先に涙が流れていたからなんだ…

 笑うことだって、先に笑顔をくれたから…

 その人がいなくなってしまったら、この気持ちは誰に伝えればいい?

 その人が消えてしまったら、きっとこの気持ちは行き場をなくして、まるで闇のように影のように、もっともっと深くなってつきまとう。

 手をつなぐのは好きじゃなかった。

 手をつないで前を向くより、お互い向き合っていたかったのかもしれない。

 …失くしたあとで気づいても、それじゃあもう遅いんだ。

  • 2006年5月 3日 20:37
  • 松田拓弥
  • Essay

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