2006年7月の文章リスト

“ 2006年7月 ” 分の文。

洗面器

浅い容器に水を溜めて
僕がそれを覗きこむ
表面だけが波打って
底の見えない海のように
にぎった拳が脈打って
うねり出した水面が
静かに僕のなかで濁りだす

やり場のない怒りや
はけ口のない不安が
表面までは到達しないまま
僕のなかで拡散してゆく
どんなに歪んだ表情でさえ
ゆるやかな微笑みに似せてゆく

いつでも笑みを浮かべながら
そればっかりを練り上げられて
そんな石像ができあがったり
そのなかに閉じ込められた僕はいつか
自暴自棄になってみたり
だけど不思議と
ぬるま湯のなかをただ泳いでいるようで
居心地も悪くなかったり

いつかその鏡に映る僕ってやつに
思いきり拳をたたきつけてやったなら
水が揺れて弾けてこぼれて
僕の顔から笑みなんてものも消えるだろう
だけどそれをしでかす勇気もない

心の支えや優しさのなかでは
それを壊したくなるような
安心と不安が共存していて
そんなアンバランスで保たれている
泣き笑い 愛 怒りや憎しみ
いろんなものが溶け合っていて
だから優しい気持ちになれるんだ

鏡で自分の姿を眺めていたら
ヤなとこばかりが目につくように
人を見ればいいとこばかりが心に残る
そうやって人は出逢ってくんだね

いつか自分を覗きこんだら
誰かの顔が見れたらいい

  • 2006年7月 1日 10:17
  • 松田拓弥
  • Poetry

えんぴつ

“人生に消しゴムは使えないんだよ”
誰かの歌が僕の胸を引っかいた
そして僕はそれを消さない

消せないペンで文字を書き
消したいところは線を引く
それが不完全さを隠さぬように
見失うのが怖いんだ

自分の描いた軌跡が
そこで消えてしまいそうで
“完全”なんていうものは
きっとただの落書きなんだ

消しゴムを使うのは
僕が絵を描くときにだけ
知らぬ間にいらぬ影が落ちたそこに
僕はそれで光を作る

  • 2006年7月 1日 00:58
  • 松田拓弥
  • Poetry

My Stage

 目の前に、紙とペンがある…

 どうしようか…じゃあ、とりあえず…

 その紙の中心にペンを突き刺して、そこにペンよりほんのちょっぴり大きな穴をあけてみた…

 なんだ、そりゃ?
 紙とペンがあったら、なんか書いてみようよ…先生が言った。
「いいじゃん別にさ…なんか書くかわりに、こんだけ分の穴あけたかったってだけじゃん? どう使おうと俺の勝手でしょ?」
「屁理屈だ」
「ああ、それでけっこうだ」

 ひねてくれてる…ヘソ曲がりたぁ~、こいつのことだ!!

 人は言う。
【ひねくれ者は、絶対根性も曲がってる】
 そしてさらに言う。
【その曲がった根性、俺がたたきなおしてやる!!】
 ありがた迷惑だ。

 人は俺を【変わり者】と呼ぶ。
 【ヘン】とか【おかしい】という言葉も使われる。
 でも俺はそのへんのことはわからない。自分はあくまで自分であって、他人に評価された自分っていうわけじゃない。その人から見たら【ヘンなやつ】だったり【ちょっと変わったやつ】かもしれんが、俺は、【俺】だ。

 俺は詩を書く。詩を書いてる。
 思ったこと、感じたこと、わいてきたものを、とにかく書いてる。
 表現するなんてシャレたもんじゃない。
 ただ書いてんだ。
 小説も書いてる。シナリオが書きたい。本が書きたい。書きたい。
 自分だけの【舞台】がほしい。
 歌もいい。
 とにかく、自分だけの【舞台】が欲しいんだ。
 でもそれは、自分の人生の上にできるものだから、他人の評価で揺れはしない。
 自分の人生、自分の評価で進めていきたい。
 認められなきゃ、それは単に【カネ】にならないだけの話だ。
 カネはいらないわけじゃないが、それは、カネで値段のつくような価値じゃない。
 そんな話をしてるんじゃない。

 人に認められたくて、小説とか詩を書いてるんじゃない。
 カネのために書いてるわけでもない。
 でもそれは嘘になるから…カネになったら嬉しいなぁ~ぐらいは言っておこう。
 ただ、自分の【舞台】が欲しいんだ。

  • 2006年7月 1日 00:57
  • 松田拓弥
  • Essay

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