どんなに言葉を費やして
自分を隠してきただろう
自分の知るすべての言葉を費やして
どれだけ嘘をついただろう
自分の知る言葉で
知らない自分を覆ってきた
ありもしない理由を作りだしては
無意味な結果を消してゆく
だからなにも理解できなくて
言葉はいつも蜃気楼の檻の中
今までのなにかを変えるために
今日も明日もあさっても
その繰り返しの繰り返しで
結局なにも変えられなくて
だけど終わりはまだまだ来ない
“結局”なんてたった2つの言葉を使うには
まだまだ今じゃ早すぎる
ずっと止まったままだった
時計の針はさっき手のなかで
今また動きはじめたばかりだから
小さく小さく
友達が笑顔も連れていって
他人の隙間を吹き抜ける季節の風の口笛に
自分の居場所もわからぬまま
ひとり 交差点で鼻歌なんてね
だけど嘘をつくために言葉を憶えたわけじゃない
自分の居場所を探すために
他人ばかりの交差点で隙間風をにらみつけに来たんじゃない
ここを渡りきっても
その先になにかが待ってるわけでもないけど
渡りきれたら渡る前とは
少しはなにかが違っているかもしれないし
他にはなにも変えられなくても
自分のなかで何が変わればそれでいい
だから今はそれで充分なんだと思えたり
涙が急にあふれてきた
止まることもできなくて
止めることもなかった
ごくありふれた人の街
- 2006年4月15日 00:53
- Poetry